Glass Talk 02

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町田顕彦さん
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重要な坩堝(るつぼ)の本焼き

町田

(溶解炉の)坩堝(るつぼ)は、年に一度点けたらずっと火を落とせないですよね?

貴島

落とせないですね。
坩堝は元が手作りの素焼きの瓶(かめ)なんです。焼き物って素焼きと本焼きがあって、その本焼きを自分でやらなければならないんですが、これがすごく難しい。50センチくらいの直径のものを60センチの炉の中で本焼きにします。均等に温度を上げないと割れてしまうので、その調整にすごく気を使います。上手くいきますように!お酒や塩をこうしてパンパン!って、点火式やるところもあると思います(笑)やったって効かないですよ。だから神頼みはしません。ひたすら慎重に、科学的に、何箇所も特殊な温度計を入れて、失敗を重ねて……

町田

コツはあるんですか?

貴島

ひたすらゆっくり、ひたすら慎重に。僕が一年で一番丁寧に、慎重になる時ですね。坩堝の焼締めといって、その時だけは徹夜でやります。陶芸の本焼きをする人たち、あんな感じだと思います。毎年、正月の時期にやるんですが、去年は夏に坩堝割っちゃったんですよ。7月に換えたものだから、まだ生きてる。

町田

今、坩堝作ってる人たちっていうのは?

貴島

細々とですけどね、おじいちゃん達がやってます。二十何年で値段が倍になりました。手間を考えると高いものじゃないんですけどね。

町田

そういう面の技術発展ってないんでしょうか?

貴島

もともとは工業の分野だったから、それこそ工業用の坩堝をたくさん作ってる工場があって。そこの隅っこでちょっと合間に作ってください!とやっていたわけです。いいよ、やってあげるよ、と。安かったです。ガラス工房もそんなに多くはなかったので。今、ガラス工房は増えているけど、工場は軒並み潰れてしまって、何十軒もあったのに2~3軒しか残ってません。もう瀕死。しょうがないですよね。工場だとあちこちで交換して毎月1~2本は坩堝を使うけど、ガラス工房は年に1回、1個を交換するだけですから。皆も貧乏だから、なるべく長持ちさせようとする。そうなると坩堝屋さんも困っちゃいますよね、商売にならなくて。

大きな工場と個人工房の違い

貴島

工場と個人工房では、生産量も全然違うし、顧客層も違うし、制作スタイルも全然違うんです。

町田

大きい工場だと色ごとにるつぼがありそうですね。

貴島

大きい工場では色毎にガラスを溶かして生産計画に基づいてやるんですよね。個人工房だと炉の中に溶けているガラス自体に色をつけちゃうと作業がフレキシブルにできなくなっちゃうんです。その色しか使えなくなっちゃうから。だから色を別にいろんな形でとっておいて、それをくっつけて作る、そんなやり方をしています。

町田

色をつけるメリットはありますか?

貴島

ありますね。溶けてるガラスに色がつくのは、その厚みに対してある厚みができて、その色がでるというわけです。薄いもので青が欲しい場合は濃いめの青、肉厚のもので青が欲しい場合は薄い青を溶かします。こうした調整が必要なんですが、個人工房だとそういうのが難しい。だから一定の強い濃度の色ガラスを別管理しておいて、ちょっとだけ使って薄く伸ばして、とかそういうやり方をします。となると量産性は低いですよね。工程もすごく増えちゃうから、時間でいうと10倍は違うんじゃないでしょうか。

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