特に日本の場合、ギャラリーといえども、工業的・美術的なものだけだとなかなか売れないということはないですか？

そうですよね。

それを食器とか、使う道具に落とし込んでいかないといけない。最近は特にそういうのがあると思うんですが、そのあたりは何か意識されていますか？

あると思いますね。ギャラリーで展示させてもらい始めた頃も、売り上げを作るために、どうやったら手にとってもらえるかな、と。

もともと日本はどちらかというと生活で使えるものが……

素地はあるじゃないですか。茶の湯だって、民藝の世界だってそうですし。それはやっぱり日本の特徴ですよね。

うんうん。

アメリカとか外国のコレクターたちは、どんな素敵なカップがあってもケースの中に仕舞ってますから。使ってないですからね。

日本独特ですね。

使うのは、そうですね。

お客さんも、何か使えるかっていらっしゃるから。その高台がついてる茶器みたいな湯のみ、すごく使いやすいです。料理を盛りつけたくなるような。

なりますね。

最近、中国とか台湾のお客様が買ってくださって、実際に盛りつけている写真を送ってくださるんです。すごくきれいですね。

それに救われています。だから単価も上げられないのだけど、逆にそれで買ってもらえるから生きていけるんですよね。そこが外国とは違います。

向こうのガラス作家の人たちは大変なんですか？

そういう部分では、すごく景気に左右されていると思います。アメリカの西海岸の作家さんたちも、始めてからあっという間に潰れたりしてます。苦労されていると思いますね。

どちらかというと美術工芸扱い？

完全に美術ですね。

削紋に関しては、夏は涼しげだし冬は凛とした感じもあるから、季節にも左右されない気がします。

近年はそうかもしれませんね。若い人たちを見ているとあまり関係ないように感じます。僕はどちらかというと高く値段設定しているので、購買層も高めになります。そうなると季節感がないのはだめなんです、まだね。だから展示も春夏にお願いしています。これからはまた変わってくるのだと思うのですが。

個展は、この年はこうしてみよう、とかなんとなくあったりはしますか？

何となくはあります。言葉にはしづらいですけど。

色つきのものもありましたね。最近は削紋が。

手間はかかりますが。あまりあれこれ手をだすよりは、こう潔くなっていく感じで。

統一感ですね。