Glass Talk 02

knulpAA gallery 町田顕彦さん

HOME > GLASS TALK 02|PAGE1

Glass Talk 02

町田顕彦さん
knulpAA gallery

HOME > GLASS TALK 02|PAGE1

工房にて

二人のトークは、工房の成り立ち、設備、教室、周囲の環境から日本の特色へ。緑豊かな工房の環境や、作品が日常に溶け込む「道具」として求められる日本の特徴は、貴島雄太朗のガラス作品作りにどのように影響しているのでしょうか。

町田顕彦|MACHIDA Akihiko

knulpAA gallery
1973年東京都練馬区生まれ。大学卒業後、輸入貿易会社に勤めながら自身で起業を考えていた頃に陶芸が盛んな栃木県益子町に縁ができる。
knulpAA gallery 店主 町田顕彦
日本の伝統工芸に興味を持ち、2003年石神井町に「日本の良いモノ集めました」というコンセプトで日本の現代的なライフスタイルに合う工芸プロダクトを販売するknulpAAをオープン。2013年移転時に個人作家の手仕事の作品を紹介するギャラリーに集約。企画展を中心に、陶器のうつわをはじめ、ガラス、木工作品などを扱う。

貴島雄太朗|KIJIMA Yutaro

ガラス作家|Glass Artist

1964年東京都生まれ。明治大学商学部卒業後、損害保険会社勤務のかたわら1992年吹きガラスを始める。

1994年Pilchuck Glass School参加、1995年Lino Tagliapietra氏及びRudy Gritch氏によりbest studentにノミネート。
1996年東京都練馬区大泉学園町の閑静な住宅街にある自宅敷地内に吹きガラス工房「青樹舎硝子工房」を開設。現在、同ガラス工房主宰、吹きガラス教室講師。 ガラス作家 として代表作「削紋」を始めとする自身の作品制作を行う他、工業用ガラス製品、商業ディスプレイデザインなど企業からの依頼制作を担う。

編集 高多 留美|TAKATA Rumi
写真 竹花|TAKEHANA
ディレクション 千葉 泉|CHIBA Izumi

吹きガラス工房として独立

町田

会社勤めされている頃に吹きガラスをはじめられたんですよね。

貴島

吹きガラスは言ってみればスポーツ、身体をすごく使うんです。金融系サラリーマンだったからその対比がすごい。作業の内容もだけど人種も全然違っていて面白かったですね。両極端を見るような感じでした。

町田

お仕事との両立から独立しようと思うきっかけのようなものはあったのでしょうか?

貴島

最初は通っていた教室の月謝の計算からなんです。ふたつみっつと掛けもちでやると相当つぎ込んじゃうことになる、けっして安くないんですよ。工房についての知恵もついてきて、仲間を集めてやれば割り勘でできるんじゃないかなと思ったわけです。幸い自宅にスペースがあったので仮設プレハブを建てて、6人の仲間に声をかけてやりました。今でもつき合いのある仲間ですね。

緑に囲まれた環境でのガラス作り

町田

東京とは思えないような、緑に囲まれた工房ですよね。

貴島

環境は関係ないと思っていたんです。自分の作るものにそんなに影響ないだろうなと。でもこうやって振り返ってみるとやっぱりありますね。うん。

町田

外見ると、本当に緑ですね。貴重な植物もあったり?

貴島

野草みたいなのが生えていますから。管理らしい管理はしていないですが、落ち葉が大変。何もしないわけにはいかない量なんですよ。

町田

チェーンソー、買ったとか(笑)

貴島

買いましたよ、やらかしちゃいました。枝をチェーンソーで小割りにしてごみに出す、そんな感じです。裏の松を落としたの、植木屋さんがもっていかないから庭の隅に置いてあります。

町田

薪ストーブとかは?

貴島

家にはないんですが近所の方が薪ストーブやってるので昨晩ごっそり持っていきました。生だから今シーズンは使えるのかな?乾燥しなくちゃいけないから。届けにいったらメロンいただいちゃいました!(笑)

工房を支える設備

町田

個人の工房で必要な設備ってなんでしょうか?

貴島

生原料からガラスを作るための「溶解炉」ですね。熱源は自由にできるので、工場だと重油、個人工房だと都市ガスやプロパンガスです。近年はエコっていう観点から電気を使う人も増えています。一度溶かせば、あとは巻き取って膨らませるという作業ができます。

町田

確かもうひとつありますよね?

貴島

「加熱炉」ですね。作業するときに、溶解炉だけだと複数人で使う時に、ガラスが冷めた時の再加熱ができないんです。なので別途、加熱炉も設置します。

加熱炉

町田

溶解炉にはどろどろに溶けたガラスが入ってて……

貴島

パイプか何かで巻き取って膨らまします。できあがったものは歪みをとらないといけないので、電気炉のような箱の中に入れてゆっくり冷まします。ガラスを溶かして作業して冷まして、っていう流れができればガラスは作れるんですね。

展示予定をお知らせ致します
Get updates about next exhibitions