ガラスに関わるこれまでを振り返って
本年のknulpAA gallery さんでの個展を無事終えることができました。 展示期間中、ガラスに関わってきたこれまでを少し振り返っていました… あとで思えばあれが転機だったなという機会はあるもので、私にとって大きな転機のひとつは池袋西武百貨店で開催されたリノタリアピエトラ展でした。バブル初期は、楽しい思い切った展示会も多く、リノ展もそういった企画のひとつでした。 趣味としてのガラスに興味が深まった当時、展示があれば覗きに出掛けていました。通勤時に展示の広告を見かけ、残業放り投げて駆けつけたリノ展は、想像以上の規模と内容で、謎の技法と鮮やかな彩り溢れた作品に魅了されました。 リノ先生も在廊され、恰幅よく活力溢れる五十代の先生は全盛期。何故か日本語ができるご子息を通じて、いくら聞いてもさっぱりわからない技術のこと、ムラーノのこと、職人と作家のこと、ガラスの学びかたのこと、ごはんのこと…あれこれと伺うことかできました。 そして、そのことが、後のシアトルのピルチャックグラススクール、兄と慕う生涯の友との出会い、制作や展示活動、工房の設立、そして現在の自営活動に繋がったと思います。 展示では、見るからに気質の二十代の会社員が真剣に見ているものだから、スタッフの方も珍しく感じられたようでとても親切にしていただきました。その中でも当時若手中心スタッフでいらしたかたには、周辺情報なども随分教えていただきました。その後30年余、工房を立ち上げたり、皆さんにも集まっていただいて、なんとか続けることができ、今回のクヌルプ展もかれこれ10年近く回を重ねることが出来たのもその頃の勢いがあったからだと思っています。 そんな中でそのスタッフでいらした方が今回のknulp展に来てくださいました。30年ぶりにお目にかかれて、飛び上がるほど嬉しかったのと、無沙汰のお詫びを申し上げました。伺うに、彼女は当時からの私の活動を気にかけてくださっていて、折に触れて私の仕事を知れずに見てくださっていました。