knulpAA gallery 町田顕彦さん
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町田顕彦さん
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美術と民藝の狭間で
町田
特に日本の場合、ギャラリーといえども、工業的・美術的なものだけだとなかなか売れないということはないですか?
貴島
そうですよね。
町田
それを食器とか、使う道具に落とし込んでいかないといけない。最近は特にそういうのがあると思うんですが、そのあたりは何か意識されていますか?
貴島
あると思いますね。ギャラリーで展示させてもらい始めた頃も、売り上げを作るために、どうやったら手にとってもらえるかな、と。
町田
もともと日本はどちらかというと生活で使えるものが……
貴島
素地はあるじゃないですか。茶の湯だって、民藝の世界だってそうですし。それはやっぱり日本の特徴ですよね。
町田
うんうん。
貴島
アメリカとか外国のコレクターたちは、どんな素敵なカップがあってもケースの中に仕舞ってますから。使ってないですからね。
町田
日本独特ですね。
貴島
使うのは、そうですね。
町田
お客さんも、何か使えるかっていらっしゃるから。その高台がついてる茶器みたいな湯のみ、すごく使いやすいです。料理を盛りつけたくなるような。
貴島
なりますね。
町田
最近、中国とか台湾のお客様が買ってくださって、実際に盛りつけている写真を送ってくださるんです。すごくきれいですね。
貴島
それに救われています。だから単価も上げられないのだけど、逆にそれで買ってもらえるから生きていけるんですよね。そこが外国とは違います。
町田
向こうのガラス作家の人たちは大変なんですか?
貴島
そういう部分では、すごく景気に左右されていると思います。アメリカの西海岸の作家さんたちも、始めてからあっという間に潰れたりしてます。苦労されていると思いますね。
町田
どちらかというと美術工芸扱い?
貴島
完全に美術ですね。
町田
削紋に関しては、夏は涼しげだし冬は凛とした感じもあるから、季節にも左右されない気がします。
貴島
近年はそうかもしれませんね。若い人たちを見ているとあまり関係ないように感じます。僕はどちらかというと高く値段設定しているので、購買層も高めになります。そうなると季節感がないのはだめなんです、まだね。だから展示も春夏にお願いしています。これからはまた変わってくるのだと思うのですが。
町田
個展は、この年はこうしてみよう、とかなんとなくあったりはしますか?
貴島
何となくはあります。言葉にはしづらいですけど。
町田
色つきのものもありましたね。最近は削紋が。
貴島
手間はかかりますが。あまりあれこれ手をだすよりは、こう潔くなっていく感じで。
町田
統一感ですね。
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